パリ発祥の10月第一土曜の夜から日曜の朝にかけて夜通し行われる文化祭の白夜祭が台北で「台北白晝之夜（ニュイ·ブランシュ タイペイ）」として開催される。南港の街が10月3日夜6時から翌日の午前6時までの12時間限定で美術館と化し、世界各国から招かれた100名近いアーティスト達による様々な最新デジタルアートを展示する。
今年は台湾工業発展の地「南港」で、テーマを「南港通電 看見交界（訳：通電された南港 見える境界線）」に設定された。重工業地域として国の発展に尽力し「黒郷」と呼ばれてきた場所に光をあて、南港の土地、人、文化をより理解してもらうと同時に、光の灯った南港の新しい姿を見て欲しいという願いが込められている。
芸術総監督は豪華朗機工(LuxuryLogico)の林昆穎(Lin Kun-ying)が務める。ビジュアルアートの統率を担う胡忻儀は「領域を越えた共創の実践」をモットーにSUPER ADD、余政達、高德亮、賈茜茹、洪譽豪、Candy Bird、何理互動（WHYIXD）、許巽翔、林瑜亮、郭奕臣など様々な異なる媒体を得意とするアーティストを率いる。
今回、初めて人目に触れることとなった台電修護處（台湾電力保守設備工場）の外壁には、フォトグラファー林系呈によって撮影された202名分の台湾電力メンテナンス作業員のポートレート写真が、電球と共に連なるように展示される。この作品「JR X 林系呈《裡外反轉藝術行動》台電修護處人員群像」は、フランスのストリートアーティストJRが立ち上げた「Inside Out Project」に呼応して制作された。総監督である林昆穎は「ここに電気が通ったその瞬間、私達はこの灯りが多くの人の力と知恵の結晶であることをより深く理解するだろう。」と語っている。
光のアート「幻流行光」は、豪華朗機工(LuxuryLogico)が手がけた。舞台の音響とライトの演出は誰もが目にしたことがあるが、このデジタル時代において、そのプログラミング言語やコントロール技術は、今日まで止まることなく発展し続けてきた。彼らは、この光と音が織りなす芸術は、もはや舞台の脇役ではなく、それ自体が美学の境地に至っているとし、現在精密機器を調整中の舞台を利用して、最も単純で純粋な想像をもって光で空間を彫刻する。
トルコ・イスタンブールのアートスタジオ Ouchhhによる「DATAMONOLITH」が台湾にて初公開し、世界最古と言われる遺跡とAIのコラボレーションを目にすることができる。トルコの遺跡 ギョベクリ・テペ(Göbekli Tepe)の画像データをGANとAIアルゴリズムで学習させ、一枚岩のようなスクリーンで表現している。人類の文明発展の先駆けとなった場所と最先端技術の結びつきが新たなインスピレーションとして世界に発信される。
「章魚入侵（訳：たこ侵入）」はイギリスのストリートアーティストでゲリラパフォーマーのFilthy Lukerが手掛けた作品で、巨大風船で作成された体長10メートルはあるであろう大だこの足が大型駐車場の窓から躍り出る。彼らの生み出すユーモアいっぱいのアートは、見慣れた街を一変させることで人々の心を明るくする力がある。
これらの作品は南港駅から昆陽駅までを横断するように様々な場所に展開され、大イベント会場として「南興公園—眾聲（訳：人々の声）」、「極限運動訓練中心（訳：極限スポーツトレーニングセンター）—躁動（訳：動き）」、「瓶蓋工廠台北製造所（訳：ビール瓶の蓋製造工場）—夢遊」、「臺北流行音樂中心（訳：ポップミュージックセンター）東広場—光論（訳：光の理論）」、「臺北流行音樂中心—兵工廠（訳：兵器工場）」、「臺北流行音樂中心西広場—再生」、そして「台電修護處（訳：台湾電力保守設備工場）—永續（永続）」の７カ所が設置されている。
▍白晝之夜 Nuit Blanche
時間｜2020年10月3日(土) 18:00 – 10月4日(日) 6:00
地點｜台北市南港区
ウェブサイト｜https://www.nuitblanchetaipei.info/
