【現地レポ】台湾最大の学生作品展「新一代設計展2024」

今回で43回目を迎えた台湾最大の合同学生作品展「新一代設計展(Young Designer’s Exihibition)」が、5月24日から27日にかけて開催され、またその期間中に展示作品の中から与えられるアワード「新秀金点設計奨(Young Pin Design Award)」の審査が行われ、26日に受賞作品の発表と授賞式が行われました。

今回は台湾デザインニュースが、台湾デザイン研究院さんからプレスとして開幕式から授賞式までご招待いただきましたので、会場の様子などを現地レポートとしてお伝えいたします。

今年は台北市の東側に位置する南港展覧館 B館 の1Fと4Fにて開催。学校単位(あるいは学科単位)にそれぞれにこだわったデザインのブースが設置され、その中で各学生が小ブースを作るなりし、作品を展示しています。
どのブースも趣向を凝らした気合の入ったデザインで、一般的な展示会よりもはるかに魅力的な会場でした。

また学生のアピールだけではなく、参加している学校としても入学志願者獲得のチャンスとして捉えているようで、しっかり受賞した実績を示しているブースも多くあります。

台湾デザインニュース視点のイチオシ作品!

台湾デザインニュース目線で、素晴らしいデザインだと感じた作品をご紹介します。

Loop!

列車の模型が鉄琴の線路を、走りカタコトと音を立てて走る音楽の教育玩具。鉄琴にそれぞれ音階があり、鉄琴を好きな順番に並べて走らせることで一つの曲になり、自分で音楽を作ることもできる。乗った列車のカタ・コトという音がメタファーとなっていて懐かしさも感じる上に、製品としてのスタイルも可愛い作品。

Loop!
林 雅丰(東海大学 プロダクトデザイン学科)
作品ページ|https://www.yodex.com.tw/exhibit/907
Instagram|@loop.music.tw

咸甜字体大対決! SALTY VS. SWEET TYPEFACE-OFF!

形は少し違えども、日本と同じ漢字文化の台湾。今年も書体をデザインしている学生さんの展示もありました。特に、彼女たちの作品「 SALTY VS. SWEET TYPEFACE-OFF!」は「塩っぱい」と「甘い」の2つの書体を制作し、対立させています。太った書体で線が重なるような視覚的効果によって立体感を感じさせるのが印象的な書体です。
書体制作用のソフトは使わずAdobe Illustraterで全て制作したとのこと。とても大変な作業だったと思います。時間はかかりますが、引き続き制作を進めていってほしいと思います。

咸甜字体大対決! SALTY VS. SWEET TYPEFACE-OFF!
邱彩瑛、蔡昀芸、簡予恬
作品ページ|https://www.yodex.com.tw/exhibit/139
Instagram|@saltyvssweet.typefaceoff
LinkTree|https://linktr.ee/saltyvssweet.typefaceoff

十八層地毯 Oh No!是地獄

台湾の道路がモチーフになった絨毯です。快適に安全に歩くための舗装された道であるはずが、ブロックが欠けていたり排水溝の蓋がしっかりはまっていなかったりする道を。「歩行者に恐怖を与える『地獄』のようなものだ」と比喩した。
歩行者地獄の現象を風刺し、交通安全と歩行者の権利に対する社会の関心を喚起するために、柔らかく快適な素材を使用したカーペットシリーズを作成しました。

十八層地毯 Oh No!是地獄
国立台湾芸術大学 グラフィックデザイン学部
劉家妤、勾彧萱、 王瓊玉
作品ページ|https://www.yodex.com.tw/exhibit/5
Instagram|@18_layers_of_carpet

デザイン系高校も全国から観覧に

会場の入り口前には何台ものバスが停められ、高校生が先生の引率のもと降りてくる光景を見かけました。台中から来たという高校の先生に話を伺ってみると、美術・デザイン系の学校で、学生たちが大学はデザイン系学科に進むのを見越して、このように毎年来場しているのだそうです。

究極に環境にやさしい「借物計画」

会場内のいくつかの場所では「借物計画」と題し、材料を「借り物」でまかない構築したエリアが登場。レンガや木材をバンドなどで固定し人が座り休憩できたり、木板を加工せずにそのまま配置固定し、産学連携プロジェクトの展示や、随時イベントが開催されるエリアで活用された。


そして「借り物」であることから、会期が終わると材料はそのままの流通サイクルの中に戻される。一見すると突拍子もないアイデアのように感じられることをしっかり実現させるユニークさが素敵で、環境保護を重視する台湾社会の特徴が現れるコンセプトだと感じます。

またイベントエリアの近くに、カードに絵やメッセージなどを描いて、1つのオブジェを来場者が作るミニワークショップも用意されていました。

こういったみんなが参加して一緒に何かを作る企画をよく見かけますが、とても台湾らしいと思います。日本より密接なスキンシップをとる傾向にある台湾の習慣がこう言ったクリエイティブなものの中から感じられることがあります。


▍新一代設計展(ヤングピン デザインエキシビジョン)
ウェブ|https://www.yodex.com.tw/
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