音楽賞「金曲奨」において、ジャケットデザイン賞(最佳装幀設計奨)受賞作品が発表!

今年で32回目を迎える台湾の流行音楽賞「金曲奨(Golden Melody Awards)」が開催され、「最佳装幀設計奨(訳:ベストディスクジャケットデザイン賞)」が受賞楽曲やアルバムと合わせて発表された。

最終選考に残ったデザイナーは20代から50代までと幅広く、アートやデザイン、ビジュアルコミュニケーション、さらには歴史学と、多岐にわたった学域からの出身者があり、様々な言語や文化が入り混じる楽曲部門と同じく、多様性のある「台湾らしさ」が強く現れていると、現地メディアは伝えている。

▍最優秀賞

アルバム『ZETA』表面(凡音文化より引用)
アルバム『ZETA』中面(凡音文化より引用)

『ZETA』アーティスト:S.O.E. / デザイン:蕭青陽

香港を拠点とするバンドSoul Of Earsの最新アルバム「ZETA」は、女戦士ZETAが崩壊に向かう地球の中で悪と戦いつつ、新しい地球を目指す旅というストーリーを楽曲に込められている。キーボード操作の⌘+Z(元に戻す)をキービジュアルとして、この物語の中の人類が抱く地球への願いを象徴している。また、ゴミやノイズ、汚染などを象徴する写真が印刷されたブックレットは、クシャクシャにされ、崩壊した地球を表現している。


▍入選作品

左から『愛,不到』、『野蓮出庄』、『摩登原始人』

『愛,不到』アーティスト:巴奈 / デザイン:楊士慶

愛をテーマに、タンゴとエレクトロニカが組み合わされたアルバム。さまざまな質感の紙を重ね合わせ、手縫いで合わせられている。愛の多様な側面を重なりや、手縫いのランダムな線を介して表現されている。

『野蓮出庄』アーティスト:生祥樂隊 / デザイン:羅文岑、林純用、李根政

飲食店で見かけそうな水菜の箱をモチーフにデザインされた。木版画で描かれた大きな赤い水菜の絵や、ブックレット内のイラストから、力強い生命エネルギーを感じさせる。

『摩登原始人』アーティスト:炎亞綸 / デザイン:聶永真、陳聖智(永真急制)

純白の外箱や冊子に記載されるアルバムタイトル等がエンボス加工で表され、一見白紙にも見えるデザイン。内頁の瀧とキーボード・動物の毛皮と人間の皮膚の表す類似と対比が、モダン(摩登)とプリミティブ(原始)を表している。

左から『無人知曉』、『得力量 pulu’em』

『無人知曉』アーティスト:田馥甄 / デザイン:劉悅德

アルバム名「無人知曉(訳:Nobody knows)」から、ジャケットはエンボス加工のみのシンプルで洗練されたデザインに。ページの右側三分の一が切り離されているため、幾何学的な図形と写真の多次元のイメージを自由に組み合わせ、まだ誰も知らない彼女の世界を追体験できるデザインとなっている。

『得力量 pulu’em』アーティスト:桑布伊 / デザイン:陳世川

先住民族であるプユマ族の祈り「pulu’em」に由来するアルバムタイトルをイメージした広大な砂漠と大きな岩とその下にいる小さな人のデザインは、絶妙なバランスを保つ、人間と雄大な自然との関係を表現している。


▍第32回 金曲奨
公式サイト|https://gma.tavis.tw/gm32/