財団法人中強光電文化藝術基金会が主催する照明デザインアワード「台湾光環境奨」の入選作品が公開された。
本年の入選作品は、台北の宿泊施設『金普頓大安酒店(キンプトン大安ホテル)』、台南のインスタレーション作品『Shadow In Motion』、高雄の複合宿泊施設『銀座聚場(House of Takao Ginza)』、屏東の『屏東県立図書館総館』と『屏東県民公園』、宜蘭の倉庫を活用した展示プラン『20、21、22、23號倉庫展示企画案-金工再現與複写』の6作品。また授賞式が執り行われる11月5日にこの入選作品の中から受賞を果たした作品が発表となる。
台北の大動脈仁愛路と繁華街の忠孝路の間にある「金普頓大安酒店(キンプトン大安ホテル)」は、シックでモダンな雰囲気漂う洗練されたホテル。計画的にエントランスやロビーへ自然光を取り入れ、落ち着く空間にデザインされている。ダイニングルームは真珠のネックレスのような照明がユニークで個性的で、客室のベッドサイドには、リラックス、読書、睡眠といったモード選択のタッチパネルがあり、設定された最適な光環境に切り替えられる。
『Shadow In Motion』は、台南市美術館のパブリックアート作品。地下駐車場から地上を繋ぐ階段を取り囲む楕円形の空間の周りを薄いアルミ板が配列された。配列の角度を少しづつ変えているため天候や時間、人の動きによって、見え方が様々に変わるインタラクティブなアートとなっている。
日本統治時代の1936年に建設された高雄市塩埕区にある百貨街「国際商場(設立当時は高雄銀座)」。その歴史ある通りの一角に佇む『銀座聚場House of Takao Ginza』は、2年もの時間をかけてリノベーションされたカフェと民宿が融合した店舗。古い建物の良さを生かし、照度は低く設定されオレンジ色の暖かい光が周辺の歴史ある情景に溶け込んでいる。
1983年から「中正文化センター」として活用されてきた建築物を、リノベーションし新たに設立された『屏東県立図書館総館』。公園側にあった入り口を、都市側に変更するなど市民の生活に密接に関わるデザインとなった。昼間は、ガラス窓から緑と自然光を取り込み、自然を感じながら森の中で読書をしているような雰囲気を演出し、図書館がライトアップされる夜は、室内から漏れた暖かい光が静かな夜を照らしている。
『HEITO 1909屏東県民公園』は「屏東製紙工場」跡地だった地上構造物は全てとり除き、地下構造物と5つの円形プールが露出させ、歴史遺産としての意義と、県民公園としての役割を同時に担うリノベーション作品となった。暖かなオレンジのライトに、無機質な地下構造の輪郭が魅力的に映し出され、屋外美術館のような顔もあわせ持つ公園が実現した。
『宜蘭中興文化創意産業園区の20.21.22.23号倉庫展示企画案-金工再現與複写』は、中興製紙工場の鋳造や金属加工所として活用されていた建物をギャラリーにリノベーションした企画。建築の構造体をそのまま生かし、細いスチールバーやPC透明板、ガラスレンガなど視覚的に軽い素材で空間の透明性を高めた。照明は下を照らすのではなく、上を照らし天井の構造体を見せるようにデザインされ、建築遺産の展示とギャラリーを兼ね備えた企画となっている。
▍台湾光環境奨(財団法人中強光電文化藝術基金会)
公式サイト|https://www.taihubrewing.com